賃貸借の目的は、運動場としての使用とあるが、自己所有の幼稚園の園舎に隣接する土地は、借地法の適用が可能なのか?東京高裁は、借地法の適用があるとした事例をご紹介いたします。

公正証書によると、賃貸借の目的は運動場としての使用であり、期間の定めも短期ですが、園舎及びその敷地と本件土地の運動場が一体となって利用されている土地です。その土地において借地紛争が生じた案件について、東京高裁の判例(東京高判 平4.7.14 判タ822.264)は、借地法の趣旨に照らし、同法1条にいう「建物の所有を目的トスル」ものというべきとしました。

したがって本件賃貸借には借地法の適用がある、と東京高裁は判断しました。

東京高判平4・7・14(高民45・2・134、東高民報43・1-12・51、判タ822・264)

本件賃貸借は、Xらが自己所有の園舎敷地に園舎を設置して営む幼稚園の運動場として隣接の本件土地を使用する目的で成立したものであるところ、幼稚園にとって園舎に近接する運動場が必要であることは当然であって、このことは、前記文部省令等の設置基準からも十分に肯定されるところであり、本件賃貸借契約の締結当時、本件土地は幼稚園の運営にとって不可欠のものであったといわなければならない。

前記公正証書によると、賃貸借の目的は運動場としての使用であり、期間の定めも短期になっているが、実際上は園舎及びその敷地と本件土地の運動場とが一体施設として園児保育のために継続的に供用されるものであることは、Yの先代においても、これを認識したうえで賃貸借契約を締結したものであると認められる。

その後幾度か行われた契約の更新は実質的に賃料の改定のためのものであって、本件紛争に至るまで少なくとも20年余にわたって賃貸借関係が継続してきたこと、また、対価関係についても、権利金等の授受こそ認められないものの、地代は逐次値上げされ、平成元年4月1日の時点の賃料は月額41万5,000円で、本件土地に対する公租公課の2.5倍程度になっていることなどの事実関係をも合わせ考えると、本件賃貸借は、本件土地そのものの上に建物を所有することを目的とするものではないが隣接の園舎敷地における建物所有の目的を達するためにこれと不可分一体の関係にある幼稚園運動場として使用することを目的とするものであるから借地法の趣旨に照らし、同条1条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」ものというべきである

昭和53年以降Xが南側隣接地を所有するに至ったことにより右契約の目的が変更されたものとは認められない。

したがって、本件賃貸借には借地法の適用がある

注)この判例と同一事案に対する上告審判決(最判平7・6・29)では、「建物の所有を目的とする」ものに当たらないとされました。

※「借地借家紛争解決の手引」(新日本法規)より準用しました

 

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