今回の判例は、借地借家法11条1項にいう「不相当になったとき」に当たるか?を見ていきたいと思います。

大阪高判平27・12・11(金商1487・8)

1.概要

YがXより賃借しているテーマパーク敷地の約40%部分の賃料について、平成18年4月1日及び平成19年6月1日時点の賃料として合意された1㎡当たり月額388円という賃料が、平成22年4月1日時点で増額しなければ不相当となったと認定され、1㎡当たり月額442円と算定するのが相当とされた事例

テーマパークの敷地の賃料

2.事例

テーマパーク敷地の残り約60%部分は民間の地権者が賃貸人であり、その賃料は、平成18年3月31日までは、1㎡当たり月額500円、同年4月1日以降は、 平均して1㎡当たり月額516円となっている。

平成18年4月1日及び平成19年6月1日時点で、上記より安い1㎡当たり月額388円という賃料が合意されたのは、Yが従前の赤字から黒字に転じて間がないとの事情も存したところ、Yは平成19年3月期から平成21年3月期までの営業損益及び経常損益がいずれも50億円以上の黒字を計上して安定的な経営が可能となった。

なお、平成18年4月1日及び平成19年6月1日時点で民間地権者との間の平均賃料額は、Xには明らかにされていなかった。また、XのYに対する資本関係及び経営への関与も、平成21年5月頃Xは保有するY株式を全て売却し、さらに、Yへの融資金160億円についても全額返済を受けている。

したがって、本件賃料について、民間地権者との間の賃料より顕著に低く定めるべき事情は基本的に消滅した。

以上によれば、平成22年4月1日時点で、本件各土地の基礎価格や採用変動率ないしスライド指数の下落、「租税その他の公課の増減」がないといった事情が存することを考慮しても、借地借家法11条1項にいう「その他の経済的事情の変動」及び「近隣類似の土地の地代等に比較して」みた場合には、本件各土地の賃料が(増額しなければ)「不相当になったとき」に当たるものと認めるの が相当である。
※借地借家紛争解決の手引(新日本法規出版)より引用しました。(P420ノ8)