「判例にみる借地・借家における特約の効力」(新日本法規)によれば、下記のような事例がありますのでご紹介致します。

将来の賃料についての特約

最(ニ)判昭56・4・20民集35・3・656ほか

土地の賃貸借契約において、将来の賃料は賃貸借の当事者が協議して定める旨の約定がある場合において、協議を経ないでなされた賃料増額請求の意思表示無効となるか?

判決要旨

建物所有を目的とする土地の賃貸借契約において将来の賃料は、当事者が協議して定める旨の約束がされた場合でも、当事者が賃料増減の意思表示前に予め協議を経ず、また、意思表示後の協議が当事者相互の事情により進まないためさらにその尽くさなかったからといって、賃料増減の意思表示が無効となるものではない。

※上記書籍の著者 澤野順産氏のコメント

借地法12条1項強行法規とされており、また、同条は借地当事者間の公平(迅速な適正賃料額の決定)を図るために認められた立法趣旨からすれば、合理的理由もないのに賃料増額請求の意思表示をすることを制限し、その効力を否定するのは許されず、そのような内容を有する約定は、借地法12条1項に違反して無効と解すべきである。本判決は、本件約定を判決要旨のとおり解釈し、Xのした賃料増額請求は有効であることを認めたものである。借地借家法11条1項についても同様に解釈すべきであろう。

 

【参考判例】

①浴場用建物の賃貸借契約と浴場経営による営業利益の分配契約との混合契約に対し、借地法1条ノ2の適用を認めながら特別の理由を示すことなく同法7条の適用を否定するのは違法であるとした事例(最(三)判昭31・5・15民集10・5・496ほか)

②借地法7条の賃料減額請求は賃借人一方の申し入れにより当然にその効力を生じ、相手方の承諾を必要とせず、特別の事情がない限り賃借人のなす賃料減額交渉は即同時に賃料減額請求があったことを推認できるとした事例(大判昭7・5・28裁判例(6)民166)

③地代増額請求の意思表示をなるについては特定の方法があるわけではないので、裁判外はもちろん裁判上相手方に対し訴状その他一定の申立書又は口頭弁論において攻撃防禦の方法として行うことができる。そして一定の申立書をもってなす増額請求の意思表示は、その書面が相手方又はその訴訟代理人に送達されたときは、訴訟行為と同時に民法上法律行為の効力を生ずるとした事例(大判大6・2・10民録23・138)

※上記内容は「判例にみる借地・借家における特約の効力」(新日本法規)に基づきました。

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