1. 底地・賃借権の付着した土地

中古車展示場等の用に供されている土地の評価についての裁決事例がありましたので掲載します。

底地・賃借権の付着した土地

当該土地を底地として評価するのか、賃借権の付着した土地として評価するのかによって大幅に評価額が異なってきます。又、リスク回避に繋がります。
従って裁決を知っているか否かはとっても大きなことだと言えます。

中古車展示場等の敷地の評価(平成17年5月17日裁決・公開・大阪)

事例の概要

本件土地の賃貸借契約は、中古車展示場等の敷地として賃貸借契約を締結したものであり、借地法の適用はなく、借地権の目的となっている貸宅地として評価するのではなく貸し付けられている雑種地として評価すべきとする裁決事例

裁決要旨

請求人らは、本件土地の中古車展示場等の敷地としての賃貸借契約について、貸付けの際に建物の建築を承諾していたこと並びに本件土地上の建物について所有権保存登記がされていることから借地法の適用があり、本件土地は借地権の目的となっている貸宅地として自用地価額から借地権価額を控除して評価すべき旨主張する。

しかしながら、本件土地の賃貸借の目的である中古車販売業は、事業目的遂行のため多数の自動車を野外に展示して販売する事業であり、賃貸地の一部に管理のための事務所及び商談スペースとなる建物の建築を承諾し、実際に建築され登記がされたとしても、建物の所有以外の目的のための賃貸借であると認められるから、本件土地に係る賃貸借契約には借地法の適用はなく、借地権の目的となっている貸宅地としての評価をすることはできず、財産評価基本通達86に定めのある、貸し付けられている雑種地として評価すべきである。(平17.5.17大裁(諸)平16-86)

 

2. 賃料不払による催告の方法

賃料不払いによる催告の方法についての記事がありましたので掲載します。

1. 催告の方法

(1)催告は訴訟においても訴訟外でもすることができ、また書面、口頭を問いません。

ただ実務的には催告をしたことをきちんと証拠に残すために配達証明付きの内容証明郵便で行うのが妥当です。

(2)取立払いの約定のある場合であっても、持参又は送金払いを求めた催告は、解除の前提としての催告として有効です。

(3)賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒絶し受領遅滞の状態にある場合には、特段の事情がない限り、賃貸人が借家人の賃料の不払を理由として契約を解除するためには、単に支払を通告するだけでは足りず、その前提として、受領拒絶の態度を改め、以後賃料を提供されれば確実にこれを受領すべき旨を表示する等、自己の受領遅滞を解消させるための措置を講じる必要があります

(最判昭45・8・20)

契約書の写真

2. 催告当事者

(1)賃貸家屋が適法に転貸された場合において、賃貸人が借家人(転貸人)の賃料不払を理由に賃貸借契約を解除するに際し、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して催告する必要はありません

(2)共同相続人として共有している家屋を賃貸している場合、目的物の用益提供が共同相続人の不可分な債務である以上、これと対価関係にある賃料債権も性質上の不可分債権と解され、したがって1人の賃貸人が全額を請求できますから、共同相続人の1人が単独でした催告も有効です。

最判昭45・8・20(民集24・9・1243)

3. 紛争の概要の最高裁判例

(事 案)
昭和34年12月、Xは、期間3年、賃料月額1万6,000円、賃料は毎月15日に賃貸人方に持参して支払うという約束で、その所有家屋をYに賃貸した。昭和37年12月16日、Yは賃料を持参したが期間満了による賃貸借の終了を理由に受領を拒絶された。その後昭和38年4月15日、XはYに対し賃料の支払を催告したのでXがそれに応じて持参したところ、Xの母親に受領を拒絶された。

昭和41年6月2日、Xは未払賃料の催告及び相当期間内に支払わない場合は解除する旨の意思を表示したが、Yは賃料を支払わなかった。

(判 旨)
建物の賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒絶したときは、特段の事情がない限り、その後において提供されるべき賃料についても、受領拒絶の意思を明確にしたものと解すべきであり、このような賃貸人が賃借人の賃料の不払を理由として契約を解除するためには、単に賃料の支払を催告するだけでは足りず、その前提として、受領拒絶の態度を改め、以後賃料を提供されれば確実にこれを受領すべき旨を表示する等、自己の受領遅滞を解消させるための措置を講じなければならない

※「借地借家紛争解決の手引き」(新日本法規)より引用

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