亡母の死亡により、同人が庭の広い新しい家に住むという目的が終了したとして使用貸借契約の終了を認めた例 東京地判平23・3・31(平20(ワ)33194)

証拠(甲9、乙12、X本人、Y本人)及び弁論の全趣旨によれば、本件建物は、きれいで日当たりが良く庭の広い家に住みたいというBの希望を受けて、設計、建築されたものであり、Xとしても、実母であるBの上記希望をかなえるために、Yに対し、本件土地1を無償で使用することを承諾したものと認められる。

広い庭のある家

Yは、本件土地1の使用貸借は、普通建物所有を目的とする旨主張するが、使用貸借は、賃貸借とは異なり、専ら借主のみが利益を受ける契約であり、特殊な動機又は人的関係に基づくことが通常であることに照らすと、民法597条2項にいう「目的」とは、単に建物所有目的といった一般的抽象的なものではなく、契約成立当時における当事者の意思から推測される個別具体的なものと解するべきである。

Yは、本件建物の新築時のBの年齢や本件建物の構造等に照らせば、Xは、本件土地1の使用貸借が、本件建物の朽廃時まで存続することを了解していた旨主張する。

確かに、Xが、B死亡後の本件建物の存続を全く考慮することなく、本件土地1を使用貸借したとは考え難い。

しかしながら、他方で、YとXとの関係に照らして、B死亡後も、本件建物の朽廃時までという長期間にわたり、Yに対し、無償で本件土地1の使用を認めるつもりであったと解することはできず、本件土地1のうち本件建物が存在する範囲は、北側3分の1程度に過ぎないことも併せ考えると、B死亡後は、本件土地2の遺産分割の問題と併せて、改めて本件建物の土地利用権の設定について協議する意図であったと認めるのが相当である。

したがって、本件土地1については、Bの死亡により、同人が庭の広い新しい家に住むという目的に従った利用が終了したことから、使用貸借契約が終了したものと認められる。

 

※「借地借家紛争解決の手引き」(新日本法規)より引用

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