借地上の建物が朽廃し新築禁止特約違反の建物のみが残っている場合に借地権は消滅するか借地上の建物の朽廃

(東京地判平2・9・27判時1391・150)

 

1. 判旨

貸主の承諾等の特段の事情のない限り、当事者間で借地契約の目的として合意されていた建物が朽廃すれば借地権も消滅するものと解すべきである。

また、かかる特段の事情のない限り、新築禁止特約に違反して建築された建物は、旧借地法6条2項の「建物」にも含まれないと解すべきである。

2. 裁判所の判断

本判決は、おおむね次のとおり判示して、旧建物朽廃による借地権消滅を認め、請求を認容した。

前記の状況からすれば、旧建物は、Yがその建替えをXに申し入れた平成2年3月には、時の経過により既に建物としての効用を完全に失っていたというべきであるから、遅くともその時期には朽廃していたものと認められる。

もっとも、この場合であっても、本件借地上にはYの所有する新建物①~③があり、Yによる本件借地の使用が継続していることから、旧建物の朽廃により本件借地権が消滅するのか、消滅するとしても、Yの本件借地使用継続に対するXからの異議において、建物が存在することを前提に考えるべきか(旧借地6②)を検討する。

まず、本件新築禁止特約は契約自由の原則の範囲内のものとして有効である。

そうすると、建物の朽廃による借地権の消滅の成否は、当該借地契約において借主が貸主に対し借地契約の目的ないし基礎として主張することができる建物についてこれを判断すべきである。

すなわち、建物の新築についての貸主の承諾、その他新築建物を借主が貸主に対し借地契約の目的として主張し得る特段の事情のない限り、借地権は、当事者間で借地契約の目的として合意されていた建物が朽廃した場合には消滅するものと解すべきである。

また、借地の使用継続による法定更新に関しても、かかる特段の事情のない限り、新築禁止特約に違反して建築された建物は、旧借地法6条2項の「建物」に含まれないと解すべきである。

本件では、新建物の新築は、Xの明確な異議を無視してなされたものであり、YがXに対しこれを借地契約の目的として主張することができる特段の事情は存在しない。また、新建物②及び③についても、Yは貸主の承諾を受けていないことを十分承知の上で建築したものと推認することができ、借主であるYが貸主に対しこれを借地契約の目的として主張し得る特段の事情は認められない。

そして、XはYからの旧建物の建替えの申入れ後直ちに本件訴訟を提起しているから、XはYの土地使用の継続に対し遅滞なく異議を述べたと認められる。

したがって、Yの本件借地に対する借地権は、旧借地法6条にて更新されることはなく(「建物」がないのでXの異議に正当事由は不要)、旧建物の朽廃により消滅したものというべきである。

 

「借地上の建物をめぐる事例」(新日本法規出版を引用)

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